共有名義の不動産はトラブルになりがち:共有解消のおすすめ

共有名義やそれに近い形態の不動産のトラブルは珍しくありません。

親が良かれと思い、遺言や生前贈与で不動産を子供たちの共有にしたり、一体の土地を分筆してそれぞれの土地を子供たちに割り当てたりすることは見受けられますが、後々のトラブルの種を残していることが多いようです。

 

[共有で起こる典型例]

親が遺言により不動産を子供たちの共有とした事例では、相続により共有となりしばらくすると、子供たちの間で利用方法について意見が分かれるようになり、ご相談に来られることが度々あります。

今まで通り利用を続けたい子供、売却したい子供、貸し出せばいいと考える子供など、子供と言っても大人なので様々な意見を持つようになるものです。今まで通り利用を続けるにしても、それに反対する他の子供の声が障害となり利用しにくくなりますし、売却や賃貸をしようと思っても他の子供の反対により進めることができなくなるのです。

このように、常に子供の誰かが反対する状況では、不動産自体の利用ができなくなるので、未利用のまま塩漬けとなり孫の世代に持ち越すことになるか、いずれかの段階で相続人の誰かが買い取るか、共有者全員で売却してお金で分配せざるを得ないことになります。

当方へ来られるご相談ではそれらの可能性を全てシミュレーションし、優れている点・劣っている点などを比較しつつ共有者で受け入れ可能な方法を検討することになります。誰かの買い取りや全員で売却が代表例ですが、改めて共同利用を始めることもありますし、消極的な選択として塩漬けを選ぶ共有者もおります。

また、どうしても全員の意見の一致が見られず協力が得られない場合、裁判所に共有物分割訴訟を申し立て、裁判所の判断により子供のうち1人が買い取るか、競売して分配するかなどの結論に行き着くこともあります。

不動産を共有にすると、このような諍いを誘発することになるのであまり好ましいことではありません。

 

[共有を避け、土地を分割したものの]

しかし、共有を避けるために一体の土地を分筆してそれぞれの土地を子供たちに割り当てた場合も、必ずしも円満とはいかないことが多いものです。

一体の土地を分筆してそれぞれの土地を子供たちに割り当てていた事例では、それぞれに割り当てられた土地について、分筆の内容により建築基準法などの法令に抵触して利用上の問題が発生したり、それぞれの立地(手前か奥かなど)による不動産価値の差異で不公平感が発生し、不利な不動産を取得した子供が不満を言い立てるようになり、子供間で不和が絶えないようになって、当方にご相談に来られることが見受けられます。

もし、このような不利な不動産を相続してしまった場合、売却をする場合にも単独での売却は難しい場合があり、他の子供の不動産と共同して売却をするか、他の子供の土地の一部(隣地)を購入して建築基準法などの問題点を解消した状態にして売却するかなどの必要があり、他の子供の協力が得られるか否かや、最終的に手に入れることができる売却金額など様々な点で不利になることが少なくありません。

このような事態を招かないためにはあらかじめの検討が大切です。

子供と言っても大人で様々なライフスタイルがあるので、割り当てる土地が子供にとって適したものであるか、親は計画を立てる時に冷静に考える必要があると言えます。また、不動産価値の優劣などで不公平にならないよう、不動産の専門家に相談して不利にならないような不動産を割り当てるよう慎重に計画を立てる必要があります。

 

できれば、なるべく共有形態は避けるべきで、一体の土地を分割する場合も分割後の土地の利用価値が下がらないように慎重に計画を立て、もし下がるならば避けるべきと言えます。その場合は、相続人のうちの1人に単独で取得させ、他の相続人には他の財産を割り当てる方がトラブルが少ないとは言えます。

 

私たちしあわせ遺産相続の専門家では、共有不動産解消のご相談も多くいただいております。お気軽にご相談ください。