近頃、SNS上での誹謗中傷があらためて問題視されています。
誹謗中傷等の被害を受けた被害者は、加害者である発信者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
しかし、インターネット上の情報流通は匿名で行われることが多く、加害者である発信者がどこの誰なのかが分からないのが通常です。加害者が誰かを特定できないとなると、誹謗中傷を受けた被害者は、損害賠償請求をすることができません。
そこで、被害者側ができる手段として「発信者情報開示請求」があります。
これは、プロバイダ責任制限法で規定されている方法で、ネット上での誹謗中傷による名誉毀損やプライバシーの侵害、著作権侵害など発生した場合、プロバイダに対して投稿者の情報(氏名、住所、メールアドレスなど)の開示を請求できる制度をいいます。
発信者情報開示請求に必要な書類は3種類です。
(1)発信者情報開示請求書(「プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト」から無料でダウンロードできる)
(2)請求者の身分証のコピー
(3)権利者側(被害者)と発信者側(無断使用者)の証拠(当該サイトをプリントしたもの)
無断使用や誹謗中傷や名誉毀損を見つけた場合、証拠としてスクリーンショットを取ったり、プリントしておいたりする必要があります。
また、自分が著作権者であることを証明できる資料として自分のサイトや投稿、画像データや、自分が誹謗中傷されている書き込みの証拠を集めておく必要があります。
発信者情報開示は、民事上の請求権として規定されているために、裁判手続によらなくても請求は可能です。一般に「任意開示」と呼ばれます。
しかしながら、裁判外での開示請求に応じるようなプロバイダーが任意に開示に応じるケースは、残念ながら多くはないのが現状です。
任意開示を求める方法として、裁判上の請求手続を利用することが一般的となっているのが実情です。