申告漏れがあった場合の税務調査・ペナルティ
税金が正しく申告されたか、税務署が調査を行う場合があります。
相続税は、申告する金額がほかの税金に比べて大きいということもあり、税務署が納税者の承諾を得て任意で調査に入ることがあります。この調査を「税務調査」といいます。
税務調査では税理士の立ち会いも認められており、日程の調整にも応じてもらうことができます。
税務調査とは
相続税の申告と納付を済ませたあと、納付した相続税の金額が正しかったかどうかをチェックするために、税務署から税務調査が行われることがあります。
税務調査の結果、不備や漏れが発覚し、納めた税金の金額が本来支払うべき税額より少なかった場合には、追徴課税や延滞税といった形で追加での税金の納付が求められてしまうこともありますので、注意が必要です。
税務調査は申告書提出期限から半年~1年後にあることが多いようです。
相続税は所得税や法人税に比べて税務調査の割合が高いと言われています。
税務署は相続税の税務調査に力を入れている
相続税の課税対象者の幅が広がったこともあり、税務署は相続税の税務調査に力を入れていると言われています。
そのため、相続税の申告をした方に税務調査が入る割合は、他の税金の調査に比べてかなり高く、10~20%ほどが申告後に調査を受けているようです。
その理由として挙げられるのは、相続税の申告が非常に複雑だということです。
そのため、申告漏れなどの不備が多く、結果的に税務署から追加で税金を支払うよう指摘を受けるケースが非常に多くあるのです。
国税庁は全国の納税者の情報を一元管理しています。
明らかに被相続人の収入や資産から比べて相続税額が低いと判断される場合には、税務調査の対象になります。税の公平性を保つためにも、不備がある可能性が高い人を中心に調査を行うのです。
ただし、税務調査では税理士の立ち会いも可能です。
調査が入るからといって慌てたり不安になったりする必要はありません。まずは税理士などの専門家に相談しながらきちんと対応していきましょう。
なお、過少申告の可能性が考えられる場合には税務調査が入りますが、過大に税金を支払っていた場合にはその旨が連絡されることはありません。
もし還付を受ける必要がある場合には、税務署からではなく納税者側から再申告が必要です。
申告漏れがあった場合のペナルティ
相続税の申告漏れをしてしまった場合には、追徴課税という形でペナルティを受ける必要があります。主な追徴課税は次の通りです。
●延滞税
延滞税は、相続税の納付期限までに相続税を納付せず、納付が遅れてしまった場合に発生するペナルティです。
相続税の納期限の翌日から2カ月以内に納付しない場合は、年7.3%と、前年の11月30日の公定歩合+4%のうち、いずれか低いほうとなります。
●過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に納税したものの、申告書の内容に不足があった場合に課せられるペナルティです。こちらは早めに修正申告を行うことで、回避できる可能性もあります。
過少申告加算税は、新たに納税することになった税金の10%相当が追徴となります。また、新たに納める金額がもともと納めた相続税から50万円を超える場合は、その超えた金額に対しての15%が過少申告加算税となります。
・追納する税額が50万円まで…10%
・追納する税額が50万円を超える部分…15%
●無申告加算税
申告期限までに申告をしなかった場合、無申告加算税が課せられます。こちらも、状況によって課税額が変わります。前述の延滞税は、申告はしたものの納税をしていない場合のペナルティですが、無申告加算税は、申告もしていない場合に課せられるペナルティです。
・自主的に修正申告をした場合…5%
・指摘を受けて申告した場合…追納する税額が50万円までは15%
・指摘を受けて申告した場合…追納する税額が50万円を超える部分は20%
●重加算税
故意に事実を隠蔽するなど、悪質な場合には、重加算税のペナルティが課せられます。悪質な行為に対するペナルティなので、課税額も非常に高くなります。
・期限内に申告書を提出していた場合…35%
・期限内に申告書を提出していない場合…40%
税務調査が入った場合には、正直に対応することが大事です。「このくらいバレないだろう…」と安易に相続財産の存在を隠したりすると、大きなペナルティとして返ってくることになります。注意しましょう。