例えば、父の遺産相続に際し、母が生活していくための家も相続させてあげたいし、生活費のためのお金も相続させてあげたいし、、、と考えると、全てお母様が遺産相続をすることになってしまいます。
お母様が全て遺産相続をした場合、将来お母様が亡くなった際、お母様が相続した「お父様の財産」と、元々保有していた「お母様の財産」の両方が、一斉にお母様からお子様方へ遺産相続されることになってしまい、『多額の相続税』がかかるケースもございます。
そのような場合に、配偶者居住権をお母様のために設定することは有効な手段となります。
<例>
1.母が財産全てを遺産相続した場合
[相続前] 父の財産 5000万円(自宅4000万円/預金1000万円)
母の財産 5000万円
↓
[相続後] 母の財産 1億円
・・・ 母の相続発生時、1億円が相続税の課税対象!
(多額の相続税がかかる可能性!!)
2.母のために配偶者居住権を設定し、自宅は息子が遺産相続した場合
[相続前] 父の財産 5000万円(自宅4000万円/預金1000万円)
母の財産 5000万円
↓
[相続後] 母の財産 6000万円+配偶者居住権(母他界時に消滅)
子の財産 自宅所有権(4000万円)
・・・ 母の相続発生時、6000万円が相続税の課税対象!
(配偶者居住権の相続税評価額は消滅します)
配偶者居住権は、次の3つの方法で設定することが可能です。
1.遺言
自筆証書遺言、公正証書遺言など、遺言により配偶者に配偶者居住権を取得させることが可能です。
2.遺産分割協議
法定相続人間の遺産分割協議で配偶者に配偶者居住権を取得させることが可能です。
3.家庭裁判所の審判
遺言が無く、遺産分割協議も整わない場合、家庭裁判所の審判で配偶者に配偶者居住権を取得させることが可能です。
このように、相続税対策としても配偶者居住権を設定することは有効な場合がございます。
相続税対策をご検討の場合の配偶者居住権の活用などはお気軽に司法書士までご相談下さい。