相続した株式を売却してお金で受領する場合(確定申告にご注意)

株式を相続する場合、「株のまま相続する」だけでなく「お金に換えて相続する」ことも少なくありません。
故人が株の運用をしていても、相続人は株の運用には興味がなく、わざわざ証券口座を開設して株式を相続することを望まない方も多いものです。
(証券保管振替機構に株式を預ける「ほふり」制度の現在では、株式相続にも故人の保有株と同じく証券口座が必要となります)

ただし、株をお金で受領した際の「確定申告」に注意が必要です。
株をお金に換価する際、「相続人が売却した(=譲渡した)」扱いとなるのですが、その場合「譲渡所得税」という税金が発生するケースがあり、場合により確定申告が必要となるのです。

まず、株を相続しただけの時点では、譲渡(売却)していないため「譲渡所得」は発生しておらず、譲渡に関する税金申告は不要です。
しかし、相続で取得した株式をその後に売却し、昔購入した価格と比べて売却した価格が高かった場合(つまり値上がり益が生じた場合)、「譲渡所得」が発生する可能性があり、譲渡所得税が課税されます。この場合は確定申告が必要になる場合があるのです。

 

1.譲渡所得の計算方法

まず、値上がり益が生じているか、譲渡所得を算定します。
・譲渡所得 = 今回売却した金額 -(故人が取得した金額 + 譲渡費用)

ただし、故人が取得した金額は、以下のように扱います。
・故人が株式を購入した時の実際の購入金額
・実際の購入金額、売却金額の5%

 

2.税率(申告分離課税)

算出した譲渡所得の額に、次の税率を乗じて譲渡所得税と算定します。
・所得税:15%
・住民税:5%
・復興特別所得税:0.315%(2037年まで)

 

3.譲渡所得税の申告

原則として、算出した譲渡所得税を、「売却の翌年に確定申告」します。
この際、他の株式の損失と相殺可能(損益通算)、他の株式の損失がなおも控除しきれない場合、翌年以降3年間繰り越し可能です。
また、株式に対応する相続税を譲渡所得から控除する「相続税の取得費加算の特例」を利用できることもあります。

例外として、証券会社に特定口座(源泉徴収をしてくれる口座)を開設し、その口座を使用して相続株式を売却した場合、証券会社が税金を計算し、差し引き控除して納税するため確定申告は原則不要となります。
(ただし、故人の保有株が古いため当初の購入価格が不明の場合、前出の損益通算や相続税の取得費加算の特例を利用したい場合は確定申告が必要です。)

よって、簡便に相続株式の換価金を取得したい場合は証券会社で特定口座を開設するとよいでしょう。

 

しあわせほうむの専門家税理士は、このような煩雑な株式譲渡所得税のご相談や申告も対応しております。

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