ファイナンシャルプランナーから見る確実に夫婦で財産を管理・承継する方法

近年、核家族化が進み、ご夫婦二人きりで水入らずの老後を満喫されている方も多くいらっしゃいます。

しかし、夫も妻も『同世代の高齢者』となりますので、一方または双方が体調悪化や認知症発症などという事態になってしまったとき、財産を保有しているだけでは円滑に財産管理や承継ができなくなる恐れがあります。

 

このような場合、私たちしあわせ遺産相続の専門家では、本人の年齢・健康状態・収入・支出・保有財産・居住エリア・現在のライフスタイル・将来のご希望などを総合的に勘案し、財産管理契約、銀行代理人登録、任意後見契約、家族信託契約、預金信託、死後事務委任契約、遺言書などを複合的に組み合わせることで、ご夫婦が円滑な財産管理や承継を行うことができるようにお手伝いしております。

 

最適解はそれぞれで異なるため、当初の検討時にノウハウのある士業専門家に相談すべきだし、いざという時(将来の体調悪化や認知症発症など)にフォローする人を選定する必要があります。

 

実際の財産管理の検討は、次の流れで進みます。

 

1.財産の洗い出し(リストの作成)、シンプル化

まず、財産の洗い出しをすること。財産リストを作成し、財産内容を明確にしましょう。

財産リストを検討し、保有すべき財産、処分すべき財産を仕分けしましょう。

そのようにして保有財産をシンプル化することは重要です。シンプルにした後は、保有財産の所在を分かるようにリスト化し、遺言書かエンディングノートに記載することは有効です。

 

<リスト化のための資料>

・預金通帳、キャッシュカード

・証券会社の運用通知、配当金通知

・保険証券、毎年末の保険契約のお知らせ

・権利証、固定資産税納税通知書

 

[預金]

・定期預金を解約して普通預金に

・預け先の銀行もなるべく集約させる

 

[証券]

・(それほど運用にこだわりがなければ)証券関係も換価して預金化していいと思います。

 

[保険]

・節税保険、年金保険、好条件の医療保険、葬儀代用の死亡保険など加入価値のある保険は継続して良いと思います。検討の上、そうでない保険は整理することが重要です。

 

[不動産]

・資産価値のある不動産は保有して運用すべきでしょう。

・それ以外の不動産(老朽化した物件・使わない別荘地)などは維持経費や倒壊リスクなどを考えると早期に処分すべきでしょう。処分を先延ばしすればするほど出費とリスクが増えるからです。

 

[美術品・骨とう品]

・(それほど保有にこだわりがなければ)しかるべき先で換価して預金化していいと思います。また、遺言書などで価値の分かる人を指定し、換価などを委託してもいいと思います。他界後に他者が承継しても処分先が分からずに廃棄されてしまう可能性もあるため、あらかじめ換価するか、筋道を指定しておくべきです。

 

[貴金属・宝飾品]

・貸金庫などに保管し、遺言書かエンディングノートに明記することが有効です。

 

2.状況に応じた対処方法を準備しましょう。

①軽度の体調不良の場合

・普通預金はキャッシュカードを預かることで対応する。暗証番号を確認しておく必要があります。(法律上は財産管理契約に基づきキャッシュカードを預かることになります。)

・あらかじめ銀行に代理人登録をすることで、本人以外にも、登録された代理人(一般的に2親等以内)により出金することができます。

 

②重度の認知症など

・あらかじめ『任意後見契約』を締結し、重度の認知症の時には〇〇が任意後見人として出金ができる、と定めることが可能です。

・あらかじめ『家族信託契約』を締結し、預金の金銭を他者に預ける(信託する)ことで、重度の認知症の時には信託された者が預かった金銭から出金することが可能です。

・銀行の預金信託

主に信託銀行で、重度の認知症の時には、〇〇(一般に親族か士業専門家)の請求を条件に、毎月の介護施設費用や生活費の出金が可能とするサービスがあります。

https://www.tr.mufg.jp/shisan/tsukaeteanshin_02.html?id=tokucho

https://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/ninchisho_support/shikumi.html

https://www.smtb.jp/personal/entrustment/management/support/money/

 

③亡くなった時

[生命保険]

葬儀代や最期の入院費・遺留品整理費用など、身じまいの諸経費をねん出できる程度の死亡保険金に加入することは有効です。死亡保険金は早期に支払われるからです。

 

[民事信託契約]

契約終了時の承継人を特定の人に指定することで確実な受け渡しが可能です。

 

[遺言書]

取得者を特定の人に指定することで確実な受け渡しが可能です。遺言執行者を定める(場合により士業専門家を定める)ことで間違いのない手続きが可能です。

 

[銀行の預金信託]

主に信託銀行で、亡くなった時には特定の人に預金を渡すこと指定できるサービスがあります。

https://www.tr.mufg.jp/shisan/zuttoanshin_01.html

https://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/kazoku/index.html

https://www.smtb.jp/personal/entrustment/succession/after/money.html

 

※遺言書作成などの注意事項

暗証番号やデジタル遺産(ネット銀行口座や仮想通貨など)のID・パスワード等は、その記号情報そのものが財産を同一の価値となるため、記号情報の漏洩には重々気をつける必要があります。

保有財産の所在を分かるようにリスト化し、遺言書かエンディングノートに記載することは財産の承継を確実化するために有効ですが、その記載内容が漏洩しないように、安全な対策を講じる必要があります。

 

・エンディングノートは銀行の貸金庫などに保管をした方が安全です。当然、保有財産の記載されたエンディングノートが貸金庫にあることは、自宅の分かるところに書き残しておく必要があります。

 

・自筆の遺言書の場合、法務局に保管する方法があります。こちらも保有財産の記載された自筆遺言書が法務局にあることを、自宅の分かるところに書き残しておく方が望ましいと言えます。

 

・公正証書遺言書の場合、エンディングノートと同様に貸金庫などに保管をして、その旨を書き残す方法が考えられます。しかし、記載内容が外部に漏れることが心配な場合、手元の「正本」「謄本」をあえて破棄してしまう方法も可能です。なぜならば公正証書遺言書の『原本』は公証役場に保管されているため、私たちの手元に渡される「正本」「謄本」は再発行が可能だからです。手元には何も保管せず(既に発行されたものは破棄してしまい)、保有財産の記載された公正証書遺言書が公証役場で発行できることを、自宅の分かるところに書き残しておくという方法も可能です。

 

このように、私たちしあわせ遺産相続の専門家はさまざまな手法を組み合わせて市民の皆様の財産管理や承継のお手伝いを行っております。お気軽にお問い合わせください。