迷惑をかけない終活のお話し:銀行口座はあらかじめ整理を

遺産整理の依頼を受けると、生前にいくつも預金口座をお持ちだった方は少なくありません。故郷が遠方にある、転勤が多かった、などの方はいくつも預金口座を持っていることが普通と言ってもいいのかもしれません。しかし、遺族にとっては好ましいことにはならないのが通常です。

 

[銀行ごとに異なる手続き]

まず、いくつも預金口座を持っていると、銀行ごとに手続書類や方法が違うので、書類の準備や手続きなどがとても煩雑になります。○銀行はこの方法だったから×銀行も同じだろう、と書類を持ち込んでも受け付けてもらえないことは普通にあります。

 

[時間のかかる相続手続き]

また、昔は銀行では各店舗で即日相続手続きができたのものですが、今は運営合理化の影響で相続手続き部署の集約化を進めており、銀行によっては相続手続き完了までに受付日の予約から始まり、手続きの受付~完了と進むのに1ヶ月前後の期間がかかることも珍しくありません。(都市銀行・ゆうちょなど)

 

[遠方の金融機関へ出向く負担]

更に、金融機関によっては、店舗の窓口に出向かなければ手続きに応じないところもあります。遠方の故郷や転勤先で作った預金口座が、その地域にしかない金融機関で、店舗に出向く必要がある場合、現地まで行かないと相続手続きができず、交通費や時間が非常に負担となります。(実例:東京の方の相続で遺産は能登信用金庫)

 

[少ない預金残高]

なお、いくつも預金口座を持っている方に多いのが、分散されて各口座の残高が少ないことです。手続書類の準備や金融機関の窓口の訪問に費用や時間をかけても「交通費だけで赤字」になってしまったり、預金口座があることは分かっていても赤字となるので相続手続き自体をあきらめることも実際に起こりうることです。

 

[時々大金が見つかる]

ただし、いくつも預金口座を持っている方の場合、金融機関に口座照会をかける際に「自宅に遺されていた預金通帳以外にも知らなかった預金口座が見つかる」ことも珍しくなく、全く遺族が把握していなかった預金が増えることもあるので侮れません(そのため、相続手続きをする前の口座照会はなるべくした方が良いでしょう)。

 

遺された相続人に無用の苦労をかけることがないように、銀行口座はなるべくシンプルにまとめ、かつ、遺言書やエンディングノートなどで口座の所在がわかるようにしておくことが望ましいです。

 

私たちしあわせ遺産相続の専門家では、生前整理のご相談も多くいただいております。お気軽にご相談ください。