寄与分とは

◇意義
被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした共同相続人(寄与分権利者)があるとき、その者の本来の相続分(法定相続分又は指定相続分)に一定の加算をして、相続人間の実質的均衡を図ろうとする制度である。

◇寄与分権利者
·共同相続人であることを要する。
内縁の妻、相続欠格者、被廃除者は不可
·被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者であること。
寄与は「特別の」ものでなければならないから、夫婦間の協力扶助や親族間の扶養などの通常の寄与では足りない(法定相続分で報われるから)。

◇相続分の算定
①算定の基礎となる相続財産の確定
→被相続人が相続開始時に有した財産の価額から、寄与分を控除した値を算出する(=みなし相続財産とする)。
※寄与分は被相続人が相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできない(寄与分よりも遺贈を優先)。
②法定相続分又は指定相続分による算定
→①の価額に各共同相続人の法定相続分又は指定相続分の割合を乗じた値を算出する。
· 寄与分権利者に関する修正
→寄与分権利者については②の計算結果に寄与分を加算したものが相続分となる。

◇寄与分の確定手続き
特別の寄与の有無や寄与分の価額の確定は原則として、共同相続人間の協議で行われる。
協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を定める。