相続財産管理人制度

被相続人に法定相続人となることができる親族がまったく存在しなかったり、相続人全員から相続放棄がなされ、相続財産を管理する人がいなくなった場合、どうなるのでしょうか。

相続人の存在・不存在が明らかでないときや、相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合には、家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の管理人を選任します。
相続財産管理人は、相続人に代わり、法律にしたがって債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算や、受遺者への支払をしたり,特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続等をします。清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
 
申立人
・利害関係人(被相続人の債権者,特定遺贈を受けた者,特別縁故者など)
・検察官

また、もともと相続人だった人も申立てをすることができます。もともとの相続人はは相続放棄によって、遺産を相続することがなくなりますが、相続放棄をしたからといって、遺産の管理義務まで無くなるわけではありません。
相続放棄した人は、相続財産が適切に管理されるようになるまで、自分の財産と同一の注意義務を持って遺産を管理する義務を負います(民法940条)。

相続財産管理人はどのような人が選任されるのでしょうか?
A. 被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮して、相続財産を管理するのに最も適任と認められる人が選ばれます。弁護士、司法書士等の専門職が選ばれることもあります。

相続財産管理人の報酬は、発生するのでしょうか?どのように支払われるのでしょうか?
A.相続財産から支払われます。ただし、相続財産が少なくて報酬が支払えないと見込まれるときは、申立人から報酬相当額を家庭裁判所に納めてもらい、それを財産管理人の報酬にすることがあります。

相続財産管理人の選任の申立ての必要書類
・申立書
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
・利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),金銭消費貸借契約書写し等)
・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
 ※上記は一般的に必要とされる書類です。