家族信託と遺言

家族信託と遺言は、どちらも「財産をどう引き継ぐか」に関係しますが、役割はかなり異なります。

 

遺言は「死亡後の財産の帰属を決める」制度で、家族信託は「生前から死亡後までの財産管理を指定する」制度です。

 

そのため、遺言では生前からの財産管理などはできず、生前から(将来判断能力を喪失した場合に備えて)財産管理を託したいという希望には対応はできません。この場合、家族信託により対応することになります。

 

家族信託の場合は、生前から財産管理を行い、死亡後に信託条項に従い財産の引継ぎを行うことになります。

例えば、賃貸不動産の場合、生前から受託者(引受人)が家賃管理・建物修繕などを行うことができるため、委託者(依頼者)が認知症などで判断能力が喪失しても賃貸不動産の管理は滞ることがなく継続し、財産価値の保全に資することなります。その後、委託者が死亡した場合は家族信託契約の契約条項に従い、相続人などにきちんと管理された財産が引き継がれることになります。

 

このように生前より財産管理を行うことは遺言書にはないのが家族信託の利点ですが、反面次のようなデメリットもあり、選択には十分な検討が必要です。

 

・家族信託契約時にコストがかかる

信託条項の設定、信託契約書の作成、信託登記の申請など、手続きが複雑であり、かつ専門家への手数料が数十万以上かかることが通常です。

 

・指定された財産管理以外の手続代行はできない

本人の介護施設入所代行など、管理を指定した財産以外には家族信託の効力は及ばないため、任意後見など別途の手続が必要となります。

 

・指定された財産管理以外の相続はできない

不動産を家族信託した場合、委託者の死後、その不動産については信託契約書の条項に従い相続人などに権利が引き継がれることになりますが、家族信託をしていない預貯金、有価証券、貴金属他の財産には効力が及びません。

これら家族信託をしていない財産は、あくまでも遺言、遺産分割協議書、法定相続など別途の法的手続きにより遺産相続を行う必要があるため、生前からこのような財産の帰趨を定めたい場合はあらかじめ遺言書を検討する必要があります。

 

このように、家族信託・遺言は本人の生活に有用な制度ですが、総合的に組み合わせて本人に最適なサポートができるように備えることが大切です。

司法書士・行政書士は、そのような法的手段を組み合わせる専門家です。お気軽に司法書士・行政書士にご相談ください。

 

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