家族信託に向かない事例

家族信託 は便利な制度ですが、万能ではありません。

「とりあえず家族信託」「家族信託で全て対応できる」と提案する専門家も聞かれますが、実際には家族信託に向かないケースもかなり多く、慎重に検討が必要です。

主に家族信託が向かない例は以下となります。

 

1.親族トラブルや相続争いの可能性がある

家族信託では、受託者(財産を管理する人)が強い権限を持ちます。預金口座の管理・不動産の管理(家賃管理・不動産売却など)をほぼ独占して運用を行うため、他の親族から「受託者の長男が財産を遣い込んでいる」「使途が不透明で何も説明がない」と不審を招きやすいものです。

 

2.財産管理を適切にできる人がいない

家族信託は、受託者が独占的に運用を行うため、受託者やアドバイザーに一定の運用能力が求められます。

つまり、「金銭管理能力」「会計的な事務能力」「継続性」「誠実性」が必要となりますが、逆に「浪費癖がある」「数次に弱く会計ノウハウに疎い」「多忙」「高齢」など財産管理に向かない人が受託者にならざるを得ない状況だと後日トラブルが発生する可能性が高くなります。

 

3.家族信託に適切な財産が少ない

家族信託は設計コストが比較的高い手続きです。一般的には、契約条項検討・契約書作成・信託登記など複雑な手続きが重なり、専門家報酬などで数十万円以上(場合により百万以上)かかることがあります。

そのため、管理したい財産が少ない場合(預金数百万円のみ、自宅不動産のみ等)の場合、家族信託ではコストが過大になってしまうケースも多く、任意後見などで検討をした方が適切な場合もあります。

 

4.財産管理よりも将来の生活手続きが重要な場合

家族信託は、指定した財産を管理する制度のため、財産管理以外の代行を行うことができません。

介護施設契約・入院契約・福祉サービス契約などの本人の生活に関する手続きは家族信託の対象外となってしまうため、「将来の介護施設の選定・入所を頼みたい」など将来の生活手続を託したい場合は、任意後見など他の手段を選択する必要があります。

 

5.既に認知症が重い場合

家族信託は委託者(依頼者)と受託者(管理引受人)の「契約」により成立します。つまり、委託者には契約内容を理解できる判断能力が必要となりますが、認知症が進んでいると、「契約」をすることができないため、家族信託が成立しないことになります。

 

6.財産が家族信託に適さない

たとえば、共有不動産・地方の山林など、管理を委託することで得られる成果に比べ、管理にかかるコストが膨大と見込まれる財産は家族信託に適さないと言えます。

次に、抵当権などの付された負債のある不動産は、金融機関などの債権者が家族信託による移管を認めないケースも多く、この場合は家族信託ができないことになります。

また、証券会社管理の上場株式や投資信託などは、証券会社によっては家族信託による移管を取り扱わないケースも多く、その場合も家族信託ができないことになります。

 

このように、「家族信託万能」とは限らず、任意後見・遺言・生前贈与など、他の法的手続を選択した方が有用な例は珍しくありません。総合的な検討で本人に最適なサポートを提案できる専門家に相談することが重要となります。

司法書士・行政書士は、そのような法的手段を提案する専門家です。お気軽に司法書士・行政書士にご相談ください。

 

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