遺言執行者(いごんしっこうしゃ)とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きなどを行う人です。遺言執行者は相続人の代表として遺言の内容を実現するため、登記や金融機関の手続きなど、さまざまな手続きを行う権限を有しています。
遺言執行者が行う主な任務は、民法上では下記のようなことが規定されています。
なお、相続法改正で、執行者の権限の明確化等が行われ、規定が変わりました。
第1006条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
第1007条
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第1011条
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
第1012条(改正前)
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
第1013条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
遺言者は未成年者および破産者以外なら基本的に誰でもなることが出来ますが、相続の内容によっては揉めるケースも出てきますので、できれば専門家に依頼した方が無難です。
遺言執行者になるには、以下の方法があります。
1.遺言書で指名する
2.第三者に決めてもらうように遺言書を残す
3.家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらう
基本的には遺言書で指名することになるでしょう。
前記の条文の通り、遺言執行者には財産目録の作成や通知などの義務が生じるため、慎重に検討する必要がございます。